新潟県長岡市の衣類修整のプロ集団、山田修整有限会社社長の吉田です。「衣料品修整」=納品トラブル解決をサポートする経営者の立場から考えることを中心に書き留めています。
冒頭の句は松尾芭蕉51歳の頃、弟子達のいさかいを仲裁するため江戸から西方に旅に出た旅の途中、体調を崩して投宿した大坂の宿で、亡くなる4日前に詠んだものです。これが芭蕉が残した生前最期の句となりました。
芭蕉本人が辞世の句と意識していなかったとすれば、病を治し、まだこれからも旅を続けたいと思っていたのでしょうが、しかし、同時にこの句には、深い諦めや悲しみも感じられます。また、枯野は、冬の枯れ果てた寂しい景色ではありますが、一方で、やがて訪れる芽吹きの春への期待も表します。
作品の解釈はさておき、経営者としては、「平生即ち辞世なり」(常日頃から一句一句を辞世のつもりで詠んでいる)という芭蕉の言葉から、普段から死を意識して生きる人生観や、俳句に対する厳しい姿勢を学ぶことができます。
「生」と「死」が対になっているように、「成長」は「衰退」と対になっている概念です。そして、その浮き沈みを通して練られるものが「成熟」です。一般的には、「成長は量的な変化」を、「成熟は質的な変化」を意味します。例えば、売上や利益の増加は成長の指標ですが、ブランドの構築や人的資本の投資は成熟の指標といえるでしょう。
中小企業経営者にとって、自社の成長は競争力や市場シェアの拡大につながりますが、自社の成熟は安定性や持続性の確保につながります。どちらも重要ですが、無理な成長はリスクを高めることもある一方、成熟だけを求めるとイノベーションや変革の機会を逃すこともあります。そのため、成長と成熟のバランスを見極めることが大切です。
一朝一夕にできることではありませんが、一日の締めくくり、一年の締めくくり、事業を後継者にバトンタッチする締めくくり、生涯の締めくくり・・・、それぞれ中途半端な悔いを残さないようにしたいものです。
2023年も残すところ1日となりました。みなさまの1年の締めくくりが、やがて訪れる希望へとつながりますように。