こんにちは。新潟県長岡市の衣類修整のプロ集団、山田修整です。
わたしたち山田修整有限会社は、繊維の産地だった新潟県長岡市(旧栃尾市)で創業して57年。織物・ニット商品の製造工程に関連するトラブルに対処して商品を生かすことに日々全力を尽くしています。「修整」は、そのままでは納品不可とされる「B品」をなんとか生かそうとする仕事です。
今回は、【修整豆知識】静電気のヒミツについてご紹介します。
制電性繊維と導電性繊維
冬場になると起こる静電気によって、埃が付いたり、衣服がまとわりついたりすることがよくあります。これを低減して快適性を高める機能繊維が「制電性繊維」です。親水性のポリマーを用いて帯電を防止する帯電機能繊維がインナー、スーツの裏地、コート、寝装具などに広く使われています。
製造現場で着用される作業着(ワーキングウェア)も重要な用途です。たとえば、塵や埃が厳しく禁じられる場所では、一般衣料向けよりさらに高い制電機能が要求されます。具体的に言うと、石油化学工場や医薬品工業、精密電子工業の現場です。石油化学工場では、静電気による火災が大事故につながり兼ねませんし、医薬品工業や精密電子工業においても放電や衣服に付着した埃が不具合の原因になります。これらを防止するためには、より優れた制電性を備えた材料を使った作業服が必需品で、より機能の高い「導電性繊維」という素材が開発・採用されています。
静電気のヒミツ
冬になると、セーターを着るときや脱ぐときにパチパチと静電気が起きたことがあるかと思います。
自動車やドアのノブに触れたときパチッと火花が飛んだ経験は誰でもある嫌な現象です。これは、乾燥すると静電気が逃げにくくなり、溜まった静電気が一気に逃げ出しているのです。
これを放電といいます。
静電気はどうして起こるのでしょうか。
世の中のあらゆるものは、すべて電荷をもっています。この電荷が正側に多いものと負荷に多いものがあり、帯電列という+から-までの順序付けができるのです。
この帯電列の近いもの同士は静電気が起こりにくく、遠いものほど大きな静電気が起こります。
羊毛と絹を擦り合わせると帯電列が近いもの同士なので静電気の量は少なく、羊毛が+、絹が-に帯電します。しかし、髪の毛とアクリルでは大きく離れていますから、髪の毛は+、アクリルは-に帯電し、大量の静電気が起こります。
この静電気を処理する方法として、大きく二つに分けられます。
一つは、帯電列の近い素材を使用して、静電気を起こさせないことです。
二つ目は、起きた静電気を速やかに逃がしてしまうことです。
現在では多くの場合、静電気を速やかに逃がす方法が取られています。この方法は、繊維表面に帯電防止効果のある親水性重合体の被膜を被覆する方法、親水性モノマーを繊維表面にグラフトする方法、繊維自体に親水性の化合物を練り込むなどして繊維を改質する方法などがあります。
最近では、静電気を通しやすい金属繊維などを糸にしたり、金属を化学的に結合させた導電性繊維を開発するところまできていて、冬に起こる不快な静電気から解放されつつあります。