こんにちは、新潟県の衣類修整のプロ集団、山田修整です。
わたしたち山田修整有限会社は、繊維の産地だった長岡市(旧栃尾市)で創業して57年。織物・ニット商品の製造工程に関連するトラブルに対処して商品を活かすことに日々全力を尽くしています。「修整」は、そのままでは納品不可とされる「B品」をなんとか活かそうとする仕事です。
前回の修整豆知識では、繊維の種類について解説しました。(前回の記事はこちら)
今回は、綿、麻、毛の三種類の繊維の特徴について、詳しく解説していきます。
「それぞれの繊維にどのような特徴があるのか」ぜひチェックしてみてください。
綿、麻、毛の三種類の繊維の特徴
綿(コットン)
<短繊維綿>(繊維長20.6㎜以下)
インド綿、デシ綿など
<中繊維綿>(繊維長25㎜前後)
アメリカ綿、メキシコ綿など
<長繊維綿>(繊維長28.6㎜以上)
海島綿、エジプト綿など
<メリット>
・肌着からコートまで人にやさしい最高の繊維
その秘密は吸水性とヤング率(大きいほどかたく、変形しにくく、伸びにくい)の高さにある
・リボン状のよじれがある偏平断面の繊維
・濡れるとさらに強くなるので水洗いにふさわしい
・原料は綿花の種子毛
・肌触りがよい
・清涼感がある
・水・アルカリに強い
・染色性に優れ染めやすい
<デメリット>
・縮みやすく燃えやすい
・シワになりやすい
・色落ちや変色しやすい
綿はきわめて微細な繊維で吸水性が高いので、綿の内側と外側で温度の差ができると、内側の水分を吸い取って、外側へ発散する性質があります。
汗をかいたときに、汗を発散させようとするときに涼しく感じるように、外側へ発散する性質から熱も一緒に逃がすため、すずしく感じます。通気性がよいので夏にはぴったりの素材です。
しかし、綿は夏に涼しく着られるだけでなく、実は保温性にも優れています。
綿は繊維の中心部がマカロニのように空洞になっているので、熱が伝わりにくく放出されにくい特徴を持っています。また、綿繊維には「より」があり、布地を起毛したり、パイルを立てたりすることで、繊維内に空気をたっぷり含ませることができます。
衣類の保温性は布地が含んでいる空気量によって決まりますが、綿は空気を含むことができるので、冬にも暖かく着ることができるのです。
麻
<メリット>
・夏に最適、涼しい繊維
その秘密は吸水性と熱伝導率とヤング率の高さ
・通気性がよい
・節のある多角形断面の繊維
・繊維が非常に強い
・原料は亜麻か芋麻の茎(それ以外は麻と表示できない)
<デメリット>
・毛羽立ちやすい
・濃色は白っぽくなりやすい
・特にシワになりやすい
・濡れると特に強くなるがシャリ味が減る
麻は、植物に含まれている繊維の総称で、20種近くあります。同じ麻と呼ばれていても、原料となる植物によって、それぞれまったく性質が異ります。
私たちの身近にある麻は、リネン、ラミー、ジュート、ヘンプなどが代表的なものです。
麻の繊維は、天然繊維の中で最も強靭で、水に濡れると更に強さを増す傾向があります。
「シャリ感」、「張り」、「通気性」があり、接触冷感と併せて「さわやか」な着心地を与えてくれます。
肌触りの清涼感からくる快適性にあり、日本の蒸し暑い春夏の気候に適しています。古くから「夏は麻に限る。」として、シャツ、ブラウス、肌着、服地、着尺等に広く使用されています。今日ではソックスや、日よけ用の手袋にも重宝されています。また、他の繊維との混紡等も広く行なわれています。
麻の吸湿性を活かしたものにハンカチーフがあります。 純白な麻のハンカチーフには、気品と清涼感が漂っています。京都の舞子さんにも、化粧をくずさないで汗をふきとってくれる麻のハンカチは人気です。また、麻のフキンも、吸湿性の良くその上毛羽が残らずきれいに拭き取れる。グラスタオルとして最適です。
毛(ウール)
アンゴラ(ウサギ)・・・13μ(ミクロン)以下
ビキューナ(ラクダ科)・・・15μ以下
カシミヤ(ヤギ)・・・15∼17μ
ラム(仔羊)・・・18∼20μ
羊毛(羊)・・・20∼24μ
モヘヤ(ヤギ)・・・24∼40μ
<メリット>
・肌着からコートまで冬場に最適な繊維
その秘密はスケール(キューティクル)とクリンプ(断熱性に優れている)
・うろこのある円形断面の繊維
・濡れると強度が低下する
・原料はほとんどがメリノ羊毛
・燃えにくい
・水洗いするときは中性洗剤を使う
・濡れて揉まれるとフェルト化しやすい
・シワになりにくい
<デメリット>
・毛玉ができやすい
・黄変しやすい
・虫に喰われやすい
・塩素系漂白剤は使えない
毛(ウール)は天然繊維のうち、動物繊維に分類される繊維です。動物繊維はその出自によって、毛、絹、羽毛にわけることができますが、毛は主として獣毛から採取される繊維となります。獣毛は、哺乳類の体毛から取れる動物繊維です。
実際のビジネスシーンでは、羊毛の使用がほどんどなので、通常、「獣毛」といえば、羊毛以外の獣毛を指すことが多いです。実際に使用されている獣毛は、かなりの数になり、それぞれ動物が違えば、繊維の特徴が変わってきます。
獣毛は、古くから衣類に使われてきた天然繊維のひとつです。
動物の体毛はそもそも過酷な環境に耐えられるよう進化したものであるため、外気の変化に耐えられるだけでなく、機能的に優れた構造を持ち、驚くほど汎用性に優れています。
保温性はもちろんのこと、熱くなりすぎないような性質、吸水や吸汗性能が着目されるのもこうした所以です。
今回は、三種類の繊維(綿、麻、毛)の特徴についてご紹介しました。
まだまだ繊維の種類はたくさんありますので、ぜひ次回の修整豆知識もチェックしてみてください!